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はじめに
不倫をされた側は、不倫した夫婦の一方と、離婚するのか、夫婦関係を再構築するのか、考えなければなりません。
不倫をされた側のつらい気持ちは、実際に経験した方でないとわからないこともあるでしょう。離婚したほうが良いという人がいる一方で、「夫婦としてもう一度何とかならないか」と悩む方もいます。
不倫があった夫婦で再構築を図るのは簡単なことではありません。
この記事では、パートナーの不倫を経て、夫婦関係を再構築していこうと考えた時に考えるべきことをまとめました。
夫婦関係を再構築するとしても、不倫相手に慰謝料請求はできる
本題に入る前に注意点ですが、不倫があっても離婚はせずに夫婦関係を再構築すると決めた場合でも、パートナーの不倫相手に不倫慰謝料の請求をすることは可能です。
離婚するか再構築するかと、不倫相手に対し慰謝料請求をすることは分けて考えましょう。
もっとも、不倫相手への慰謝料請求の際に、不倫が原因で離婚したか、あるいは離婚まではしなかったか、という点は、慰謝料の金額に影響を及ぼす事情にはなります。離婚まではしなかったということは、不倫が夫婦関係に与えた打撃は比較的大きくなかったとみられて、離婚に至った場合よりも金額が小さく評価されます。
夫婦関係の再構築は決して簡単ではないと理解しておくべき
不倫後の再構築は不可能なことではありません。
しかし、再構築をして幸せな時間を取り戻すのは決して容易なことではありません。
不倫をした側、された側も「もう一度夫婦仲を良くしよう」ということは頭の中でわかっています。
ところが不倫をされた側は、しばらくの間、その傷が心の中に大きく残り続けます。
実際に再構築をして夫婦仲が良くなっても「ふとしたときにフラッシュバックする」「また不倫されるかも」といった悩みを抱えている方は多いのです。
心の傷がいつ癒えるのかは、周囲の人間はもちろんのこと、自分でもわかりません。
不倫後の再構築は、この心に残った傷と上手に付き合えてこそなのです。
「再構築を図ろうとしたけど、やはり精神的な面でのつらさが大きいので離婚を選択した」という方もいます。
現在、同じような境遇に置かれている方は、再構築は決して簡単ではないことを把握しておきましょう。
再構築するメリット
不倫発覚直後というのは夫婦の双方とも冷静さを欠いた状態であることが多く、ついつい離婚しかないという感情を抱きがちです。
しかし、すぐに離婚を選択せずに、再構築も含めて立ち止まって考えるべきです。
気持ちの問題として離婚をすればすっきりするかもしれませんが、一方で夫婦関係を再構築することによるメリットもあるからです。
(1)今までの生活を保てる
再構築をすることの一番のメリットは、「今までの生活」を保てるということです。
離婚するとは口で言うのは簡単ですが、これは本当に精神的労力が必要なことです。
住まいも変わる、名前も変わる、職場や子どもの関係に対し公表しなければならず、そして、家族構成員が変わるのです。
再構築を図ることは、このような大きな変化を回避することができるというメリットがあるのです。
(2)経済的な心配がなくなる
特に子のいる女性について顕著ですが、ただでさえ賃金上昇率が低いうえに残念ながら男女の収入格差があるわが国では、離婚をすると、結婚していた時よりも経済的には苦しくなります。女性に関しては結婚中もフルタイム・正規雇用でバリバリ働いていた人を除けば、離婚により貧困層に陥ることを覚悟しなければなりません。たとえ敏腕の弁護士に依頼して、最大限、養育費・財産分与・慰謝料等の金銭を夫から得たとしても、長期的に見れば焼石に水程度のものでしょう。
シングルマザーの年間平均年収は約243万円、シングルファザーは420万円という統計があります(厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査の結果」)。
フルタイムで働いても、1人で子育てをしながらだと、時間的にも金銭的にも全く余裕はなくなるでしょう。子供がいる場合には、長時間労働で子どもとの時間が思うようにとれなかったり、経済的な理由で子供の進路を狭めてしまったりすることになるかもしれません。
このような経済面の理由から、離婚を選択せずに再構築を図るということも多いのです。
(3)子どもの心の安定につながる可能性がある
自分の気持ちとしては離婚したいけれど、子どもが父親になついているから離婚しづらい、離婚したくないという母親は少なくありません。
離婚して別々に暮らすことで、夫婦の精神的苦痛は軽減されるかもしれません。
しかし、子どものことを考えずに離婚してしまうと、子どもの心に大きな影響を与えてしまう可能性があります。
「子どものことも考えて今はガマンしようか」という気持ちを持ち、再構築を図ることが子どもへの大きなプレゼントにもなることもあります。
不倫からの再構築を少しでも楽にさせる方法・考え方
(1)お互いの気持ちをしっかり伝える
不倫発覚直後は喧嘩、冷戦状態に陥る家庭も少なくありませんが、タイミングを見て今心の中に閉まってある気持ちをお互い素直に伝えるようにしましょう。
不倫はちょっとした出来心で始まるものが大半であるため、夫(妻)が不倫相手に対して本気になっているケースは非常に少ないものです。
つまり本心は配偶者のことを一番大切に思っているケースが大半で、離婚はしたくないという気持ちを強く持っている可能性が高いのです。
この気持ちをお互いに正直に伝えない限りは、関係の悪化へと繋がるでしょう。
話し合いでは感情的にならずに、いったん呼吸をおいた形で話して行くことが大切です。
また、「こんなことになってつらい」と自分の気持ちも正直に伝えることで、相手も「迷惑をかけて申し訳ない」という気持ちになりやすいでしょう。
お互いの気持ちを伝えることができる場を設けるのは、再構築を図る上では非常に大切なことです。
(2)日常生活に不倫の話を持ち込まない
十分に話し合ったあとは、夫婦の日常生活での会話で不用意に不倫の話を蒸し返すのはお勧めできません。極端な話、夫(妻)とこの不倫の話ができるのは10年後、と思うようにしましょう。
しかし、いくら話し合ったとはいえ、ふとしたときに旦那(妻)と浮気相手の顔が浮かび、精神的につらくなる方は多いです。
でもこのようなとき不倫の話を持ち出し、責めるような行動をとってしまえば、夫としては八方塞がり。お互いに嫌な気持ちが続くだけなのです。
(3)お互いのスケジュールを公表する
不倫後しばらくの間は相手への信頼が非常に揺らいでいる状態が続きます。
このような状態が長期的に続くのは精神的にも好ましいことではありません。
したがって再構築を図ると決めたら、お互いのスケジュールを把握できるような環境を提案してみましょう。
相手がどこにいて何をしているのか、という点が明確になっていれば、また不倫をされるという不安をかなり軽減することができます。
「もうしない」と誓っている夫(妻)であれば、スケジュールを公開することで「自分は変わった」というアピールにつなげることができますので断ることはないでしょう。
(4)スキンシップを図る
夫(妻)が不倫に走ってしまったのは、夫婦のコミュニケーション不足も原因であるケースも多いです。
このようなケースで再構築を決断しても、その後の生活に変化が見られなければまた同じことが繰り返される可能性もあります。
そのため、再構築を図ると決めたら今まで以上に2人のスキンシップの時間を大切にするようにしましょう。
(5)小さなことでも感謝の気持ちを伝える
夫婦の時間が長くなると、何かしてもらっても「それが当然」というような気持ちになってしまい、感謝の気持ちを持たなかったり、伝えなかったりするかもしれません。
こうなるとパートナーがいることのありがたみを忘れてしまうため、些細なことでも喧嘩が起きがちです。
日常的に感謝の気持ちを伝えることで、お互いに「自分は必要とされている人間なんだ」という感情が湧いてきます。
夫婦関係をより円満にするために些細なことでも感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
まとめ
不倫された場合に、夫婦の再構築について解説しましたが、離婚するのか、再構築するのかは慎重に決めなければなりません。
パートナーに不倫をされるとついつい感情的になってしまいますが、一度冷静に考えて、再構築するという選択肢をとることも十分にあり得ます。
迷っている方は、不倫慰謝料請求の話と併せて、弁護士に相談してみてもいいかもしれません。